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第170回例会2018年9月5日(水)0:00〜2018年9月11日(火)23:59 開催

開 会

点 鐘

国歌

ロータリーソング

四つのテスト

会長の時間

2018-19年度会長 原いづみ

皆さん、こんにちは!第170回例会へようこそ‼

 9月に入りましたが、まだまだ夏を思わせるような暑い日が続いております。今年の8月は台風発生数が記録的な多さだったということですが、9月に入ってから早速台風21号の到来。この原稿を書いている今も外は物凄い風と雨とで傘など役に立たないどころか凶器になりかねない様子ですが、1993年以来25年ぶりの「非常に強い台風」だということで、上陸が予想されている関西や四国では公共交通機関がストップしたり百貨店やレジャー施設も臨時休業するなどかなり大きな影響が出ているようです。今回の例会に皆さんが出席される頃にはもうこの台風もとっくに過ぎ去っているはずですが、これからまだしばらく台風が多く発生する季節です。秋台風はスピードが早く、台風発生から接近・上陸までの期間が短くなるという特徴があるということですので、最新情報をこまめにチェックし、早めの対策を心がけたいものです。

 さて、がらりと話を変えて突然ですが問題です。9月8日は何の日でしょうか?ヒントは今月の月間テーマです。月間テーマは皆さんお分かりですよね・・・。今月は「基本的教育と識字率向上月間」であり「ロータリーの友月間」です。そしてヒントは前者の方。
 問題の答えは、9月8日は「国際識字デー(International Literacy Day)」です。1965年9月8日にテヘラン(イラン)で開催された世界文相会議でイランのパーレビ国王(当時)が各国の軍事費の一日分を識字基金に拠出するよう提案したことがきっかけとなり、その後アメリカのリンドン・ジョンソン大統領(当時)が米国議会において“テヘラン会議”を忘れないため、また教育分野に取り組むUNESCOの識字教育への貢献に感謝の意を表して、9月8日を「国際識字デー」に制定するよう呼びかけられ、1965年のUNESCO総会において制定されました。

 私たちにとっては文字を読んだり書いた入りすることは、私たちにとって“あたりまえ”なことであっても、世界に目を向けると当たり前のはずのことが“あたりまえでない”人々がまだまだたくさんいます。RIのウェブサイトによると、15歳以上の非識字者の人数は約7億7500万人であり、これは全世界の成人の17%に当たるそうです。そして、学校に通っていない子供(“通えない”という方が正しいのかもしれません)は世界に6700万人いるとされています。世界では約5人に一人は最低限の識字スキルがなく、そしてその3分の2は女性であり、基礎教育を受けられない子供のうち3分の2も少女だという現実がいまだにあります。識字率が低い背景にはさまざまな要因が考えられますが、代表的な要因として次の5つが挙げられます。①学齢期に教育を受けることができないから、②近くに学校がないから、③女の子は学校に通う必要がないと考えられているから、④先生の人数が足りないから、⑤家で話す言葉と学校で教わる言葉が違う。
 紛争などの影響を受けた子どもたちに実施したある調査では、99%の子供が食料やシェルターと比較しても教育が最優先事項だと答えたとう結果があります。基礎教育を受けられずに読み書きができないと、必要な情報を手に入れることができず不利益を被るばかりか意思や要求を書面で伝えられず、社会的な権利が大幅に制約され、そしてそれは本人ばかりでなく、国や地域の発展にとっても不利益になります。経済発展、社会の進歩、人間の自由、社会秩序や治安の維持も、すべてが世界のあらゆる国々における基礎的な識字レベルの確立にかかっていると言えるでしょう。文字の読み書きができることによって、貧困解決に効果があることは統計的に証明されてます。しかしながら、非識字者を無くすためには年間1兆円という膨大な額の援助が必要と言われており、実際は半分以下の4,600億円しか教育分野に援助されていません。2000年に識字率が95%以下だった73ヵ国のうち、2015年までに非識字率を半減できた国はわずか17ヵ国だけでした。

 「地域社会が自力で学校を支え、教育における性差別を減らし、成人の識字率を高められるよう支援することが、私たちの目標です」とRIが掲げているように、多くのクラブでも識字率向上のためのプロジェクトに取り組んでいます。今回この原稿を書くにあたり少し調べてみて、識字と基礎教育の問題は経済発展、治安維持、貧困解決につながる重要な問題であると改めて感じた次第です。
 「読み書きを教えることは、一生使えるスキルを教えることです。その恩恵は、ひとり、またひとりと、地域全体に波及します。 」Mark Wilsonさん (ロータリークラブ会員)がいうように、今まで読み書きを“スキル”とは考えたことがありませんでしたが、これも立派なスキルなのですね。

幹事報告

【RENEW】 第3グループIM「東北を忘れない」へのアンケート協力依頼 -かながわ湘南RCより-
2019年3月24日(日)開催のIMに向けて主催クラブよりアンケート協力があり、9月4日(火)までに回答を提出していただくようお願いしておりましたが、ほとんどの方から提出がなかったため提出期限を1週間延長いたします。ご協力お願いします。

提出期限:2018年9月11日(火)
提出先:members@kanagawa2780rec.org

※問い合わせなどは会長 原までご連絡ください。
 また、アンケートにつきましてはクラブでまとめて提出しますので、指定アドレス以外には送信しないでください。

 

クラブ内セミナーⅠ日程延期のお知らせ
9月8日(土)に予定しておりました今年度のクラブ内セミナーⅠ(第3回移動例会)につきまして、諸般の事情により延期といたします。
新しい日程が決まり次第お知らせいたします。
 

ガバナー公式訪問新日程決定
延期になっておりましたガバナー公式訪問の新しい日程は下記のとおりです。

日程:2018年11月2日(金) 18:30点鐘
会場:第一相澤ビル会議室(詳細は後日お知らせします)

お忙しいとは思いますが、ガバナーがお越しになりますのでスケジュール調整して出席していただけますようお願いします。

 

2018-2019年度 地区大会のお知らせ
今年度の地区大会の日程と会場は下記のとおりです。
・1日目:2018年10月13日(土) 鎌倉パークホテル
・2日目:2018年10月14日(日) 茅ヶ崎市民文化会館
地区大会パンフpdf(←クリックすると見られます)

※詳細につきましては別途メールでお送りしてあります。
※登録につきましてはらくらく連絡網にて期限内にご回答ください。

 

2018-2019年度 地区大会:新世代交流会
日時:2018年10月14日(日) 9:00~9:30 受付
                9:30~11:00 新世代交流会
場所:茅ヶ崎市役所分庁舎 コミュニティーホール6F 大会議室
テーマ:「震災について」

※登録につきましてはらくらく連絡網にて期限内にご回答ください。

 

ロータリーレート
112円

委員会報告

出席委員会

出席報告
 第169回例会 出席率100%
 会員数12名 出席義務者11名 出席免除者1名 出席者11名 欠席者0名

プログラム委員

第169回例会卓話者 浅葉和子先生のイベントをご紹介致します。
ご興味のある方は是非ご参加ください。

第20回金沢文庫芸術祭
ホームページ https://www.bunko-art.org/home/
Facebook   https://www.facebook.com/bunkoart

Make Up

第169回例会のメークアップ

藤沢ロータリークラブ 國分 孝夫 様


藤沢ロータリークラブの國分です。お世話になります。
初めて「かながわ2780ロータリーeクラブ」に参加させて頂きました。原さんの会長の時間についてコメントさせて頂きます。

花火について、自分自身が子供の頃・自分の息子達が小さい頃は良く花火をしていました。子供が大きくなると地域イベントでもなければ花火大会にも行かなくなりました。花火は一つの例ですが、何等かのコミュニティーに在籍し、様々な事柄を楽しむ生活をする事について、もう一度考え直してみた方が良いと思った次第です。
日々の業務やお付き合いで時間の余裕がなく、そういったものの計画を練る事すら出来ていない今を反省して、時間があった時にスマホを見るのを止めて、本を読むのも小休止して、自分が主体的に計画を検討して周囲に働きかけることをしてゆこうと思いました。
感じる・考えるきっかけを作って頂き有難うございました!

 

小田原中ロータリークラブ 安藤 譲 様


会長のお時間より
小田原中ロータリークラブの安藤と申します。
いつもメークアップではお世話になっておりありがとうございます。

会長様のお話しの中から親睦の名目でバーベキューをしたとのお話がありました。当クラブでも親睦を目的としたバス旅、融和会主催の旅行、ゴルフ同好会などの催しが年間で何度かありますが、アウトドアでバーエキューというのはありませんでした。
バーベキューは準備や片付けも大変と存じますが、それも楽しそうだなという印象を受けました。
が、私自身、親睦の1日を要するバス旅、同好会等主催の旅行、ゴルフはまだ参加したことがなく、考え直さなければいけないな・・・という気持ちにさせられました。
ありがとうございます。

 

秦野ロータリークラブ 杉本 榮次 様


秦野ロータリークラブ直前会長の杉本榮次です。原いずみ会長は昨年度から「かながわ2780REクラブ」の会長を務めておられること大変ご苦労様です。この度、初めてメークアップのため貴クラブを訪問させて頂きました。会長の時間「次年度当クラブは創立5周年となりますが、・・・・・・」。貴クラブでもいろいろと気苦労されているのですね! 頑張って下さい。浅葉和子デザイン教室 浅葉和子先生は私より2歳年上ですが共感するところが多々あり興味深く拝聴しました。

 

海老名欅ロータリークラブ 上薗 朗様


はじめてe-clubにMake Upさせていただきました。いつでも参加できるのでとても便利だと感じました。浅葉和子先生の卓話も非常に興味深い内容でした。
今日は少し落ち着いていますがまだまだ残暑(猛暑)が続きそうですが、皆様もお体に気を付けてお過ごしください。

 

Smile Box

第169回例会のスマイル報告

今週はありませんでした。

カレンダー

卓話

株式会社kipuka/ 災害支援団体bousaring 代表 早川大様

始めまして。
株式会社kiouka/災害支援団体bousaringの代表早川と申します。
平時は株式会社で危機管理(防災・防犯)を伝えています。
災害が起きるとボランティア団体のbousaringとして活動をしております。

 

災害問題と取り組み

 

近年災害が多発している。
今年度は平成30年豪雨で広島県、岡山県、愛媛県、滋賀県、京都府。現在でも山形県戸沢村、鮭川村で水害が起きている。50年に一度、100年に一度、と呼ばれる災害が毎年どこかで起こっています。その被災をした地域に行くと「自分たちが被害にあうとは」「地盤が固いって昔から言われていた」「雨がこんなに降るなんて行政は教えてくれなかった」などといった言葉を聞きます。しかし、地元の老人に話を聞くと、昔に大雨が降ったり、地震によって津波が押し寄せたり、さまざまな経験談が出てきます。白い蛇が降りてくるという話もありました。それは、過去にものすごい豪雨があり大変な被害をもたらしたので伝えていくために残した言葉だそうです。東日本大震災のときの話ですが、南三陸の海から約3キロ離れたところに、ある地区がありました。2011年3月11日に大きな地震が起こり、大きな津波が来ました。第一波が来たときには海から約3キロ離れたその地区まで津波は来ませんでしたが、その地区の方々は高台にある神社まで避難しました。高台の眼下には第一波を逃れた沿岸部の方々が、車のハザードを点滅させて心配そうに待機していたそうです。そこに第2、第3の津波が来て、ハザードランプをつけていたたくさんの車は全部流されてしましたそうです。
過去の出来事は忘れられることばかりですが、忘れてはいけないこともあります。熊本地震ではさまざまな活断層が動きました。それにより布田川断層は距離が延び、新たに活断層が2つ追加されました。耐震基準を満たした新しい住宅も被害にあいました。阪神淡路大震災以降の耐震住宅と呼ばれた1276棟中倒壊は87棟におよびました。地震の怖さが見えた災害です。2000年の現行基準で建てられたにもかかわらず倒壊した家屋もあります。
そして、被災した人はそこから避難所での生活が始まります。
避難所ではさまざまな人との共同生活が始まります。自宅と違い、自由が利かず、プライバシーがない避難所生活となります。多くの避難場所は学校の体育館や集会所などが指定されます。ただ、体育館や集会所は本来スポーツなどのための場所なので、快適ではありません。トイレも数に限りがあり、風呂などもなく、エアコンがない施設が多いので夏は暑く、冬は寒い環境になります。夜誰かがトイレで起きると振動を音で起きてしまいます。そして日常生活が困難な方は避難所ではもっと生活の困難を強いられます。運営は住民の方々がすることが前提となります。
そういうときに避難所生活の補助をしてくれるのが、行政の方やボランティアの方々です。共同生活とはいえ掃除や物資の仕分けなどやることがたくさんあります。住民の方々で担えない部分や、困っている所をお手伝いしてくれます。特に災害支援に特化したNPOはさまざまな経験と知恵で運営を手伝ってくれます。
床に寝ることが困難な方には、ダンボールで作られたベッドを企業と交渉して導入してくれることもあります。手首が痛くトイレのドアが開けにくい方がいた場合は、ドアを外しカーテンに付け替えることも教えてくれます。熊本地震のときには季節が夏をまたいだ避難所生活でしたので、熱中症が多発する危険を考え、航空会社が機内を冷やすための移動式冷風器を避難所に入れ対応しました。今回の平成30年豪雨では各省庁も動き、エアコンが導入されました。生活環境は快適とまではなりませんが、ボランティア、企業、行政の力があってはじめて日常に近い生活が可能になります。しかしながら、都市型災害は近年おきた災害の倍以上の避難者、被害者が出る想定をされております。企業やボランティアが入ってくるまで時間がかかると考えられ。それまでは相当辛い共同生活を強いられると想定されています。

 

そのようにならない為に私どもは災害支援を行い、その経験を共有する為に防災を伝えています
視点としては、
①地域の方々と作る
②子どもの視点、女性の視点、要配慮者の視点を忘れない
③地域づくりは防災である
などをいつも考えながら作っています

それではまず災害が起きたら子ども達の環境がどうなるのか考えてみましょう

 

災害時の子どもたち
(子どもたちに必要な状況とは)

災害発生後、子どもにとっても大変な環境になります。まず遊ぶところが無くなるケースが多々あります。いつも遊んでいる遊具は往々にして壊れて使用禁止になります。場所にもよりますが、グラウンドには瓦礫等の廃材が持ち込まれます。地域では道が破損し、壊れた屋根瓦が散乱し、ブロック塀が倒れ道をふさぎます。子どもたちの遊ぶ場所はなくなり、居場所がなくなります。
そして、緊張する環境で親は疲弊し苦しくなり、その辛さからネグレクトや暴力といった場面も出てきます。もちろんすべての親がそうなるのではありませんが、悩んでいる親御さんは多かったです。

 

自傷する子ども

子どもは何か悪いことが起きると、それを心の中に秘めた状況になる場面がよく見られます。ときに、怒られる→謝る、その繰り返しで子どもは「自分が悪い」という気持ちをためてしまい自傷行為が出てくることがあります。
東日本大震災の時、避難所では子どもがマジックで机を汚してしまったのを、ボランティアが「机には書いたらダメだよ」と言うと、その子は「私なんて死ねばいいんだ」と言って、拳で自分の頭を叩きはじめました。すかさず拳と頭の間に手を入れながら話したところ落ち着いたのですが、別な遊びの途中急に「やっぱり私なんて死ねばいいんだ」と叫び続け、カベに頭を打ち続けました。しばらくして落ち着いたときには普通の子どもに戻るのです。その変わりように驚いたのを覚えています。数日後、その子はオニゴッコで遊んでいる最中に急に立ち止まり何かを思い出したような顔つきになり「私なんかいなくなればいいんだ」と自分の髪をむしりだしたのです。ボランティアが止めたのですがなかなか止まりませんでした。後にその子は自傷が激しかったため病院に行きました。しばらくして分かったことは震災後から両親からの言葉の暴力を受けていたことが分かりました。
災害は、日常の問題を表面化させることがあります。生活を不自由にしたりするだけでなく、子ども自身が隠していたことも浮き彫りになる事もあります。今も、災害によって心が傷ついた子どもたちが苦しんでいます。そうしたことを減らすために重要なのは、日常で起きそうなトラブルを想定し、起きた時はどのように対処しなければならないのか、前もって想像し対処を考え備えておくことです。危機管理も同じです。緊急時の対応だけではなく、平時から考え、命に係わる事態を想定し準備しておくことが大切となります

 

日常でも持つべき考え「危機管理(クライシスマネジメント)」とは

危機管理(クライシスマネジメント)とは、想定外の出来事、不測の事態に迅速かつ的確に対応するさま、そして命に係わる重大な有事が発生した時の対応のことを指します。
危機管理はもともと国際関係論から始まった考え方です。この言葉は、1962年に、キューバを舞台に核戦争寸前まで米ソ冷戦の緊張が高まった危機的状況をケネディ大統領とフルシチョフ第一書記との駆け引きにより、無事回避した経験から生まれました。佐々淳行氏によると、「危機管理」では、<①:危機の予測 ②:危機の防止と回避③:危機の対処と拡大防止 ④:危機の再発防止>の4工程が重視されます。各工程、各分野で研究が行われています。
危機管理の考え方ができたときには国防が想定されていましたが、近年では9.11やIS等のテロ行為に対し、世界でも「危機管理」が叫ばれ、より身近になってきました。日本国内では地震、豪雨、台風などの自然災害、SARSやインフルエンザによる感染などにより、民間にも広がりを見せるようになってきました。実際、今では「危機管理」という言葉を知らない人は少ないはずです。また、交通事故の報道(安全だとされていた歩行も、運転手の不注意により死亡するケースなど)も要因となって、「危機管理」という意識が広がってきています。
たとえば、1999年には、国道沿いでコンクリートミキサー車が横転、青信号で横断歩道を渡っていた歩行者の列に突っ込み、3人が死亡、8人が重軽傷を負うという悲しい事故が起きました。この事故から学べることがあります。
誤解を恐れずに言うならば、「安全が一番の危険である」(※進撃の巨人より)ということです。青信号だから安心だという思い込みが、危機から逃れることを妨げることもあります。
「安全」というのは自ら導く方向であり、それに向かって行動する行為です。たとえば青信号で何も考えず渡るより、赤信号で左右から車が来ないことを確認して進むほうが、安全な場合もあります。
それを判断する情報力、経験、予測が重要であり、それらの能力が高いことが「危機管理」能力が高いということです。
ちなみに近年では、子どもの遊ぶ様子や転ばないように地面の凹凸を排除するべきかの論争にまで、「危機管理」の言葉が使用されるようになりました。
しかしながら、こうしたことは本来の「危機管理」の意味合いとは違います。それらは「リスク管理、リスクマネジメント」の分野で、本来の危機管理とは、前述のような大きな有事を基本としています。相模原障害者施設殺傷事件やパンデミック(死亡率の高い疫病が急激に広範囲に広がるさま)や自然災害など、予測が困難な有事への一連の対応を指すのが、危機管理です。このことを踏まえて、本書の前半では「危機管理の考えに即した考え方」を、日常に取り入れて考えていきたいと思います。危機管理の担当もしくは組織で責任ある立場の方に、ぜひ持っていていただきたい考え方です。

 

危機管理に必要な考え

①:インフォメーションハングリー
危機管理に重要なのは情報力です。決断に当たり、情報収集が重要なので、情報力が最も重要と言っても過言ではありません。経験も大切ですが、行動の裏付けとなる情報がとても大切になります。キューバ危機のとき、カストロ最高指導者の動向とソ連のフルシチョフ第一書記の情報をアメリカがいち早く集めたことがさまざまな判断につながりました。
情報力は危機管理の担当者にとっての切り札であり、命綱となります。その情報の集め方の基本として「インフォメーションハングリー」という考えがあります。
「インフォメーションハングリー」とは、
<いつも情報をほしがっているというのを周知させておくこと>です。
インフォメーションハングリーを行ううえで大切にしておく考え
①:収集時に情報が重なることは大前提とする。
②:どんな情報でも精査してはいけない。
③:役職を超えて情報が行き来することを良しとする。
有事の際は、情報の大事小事を関係なく集めることが重要になるので、日ごろから小さい情報も共有できていることが望ましいです。
また、有事の際は日常で使われる情報収集の仕組みにする必要があります。緊急時には、その手法が迅速な判断につながるからです。東日本大震災において、元第33代陸上幕僚長・故君塚栄治氏は自衛隊員の情報のほかに、現地で活動するボランティアと情報を共有し対応をしました。そのように情報を入れ判断材料とし、対応の誤差を少なくすることが大切です。
②:平時と緊急時の情報入手方法の違い
危機管理の考え方のひとつに、「悲観的に準備し、楽観的に実行せよ」という言葉があります。これはまず想像力(イマジネーション)を使い、日常から最悪の事態を想定することが大切だという考えです
③:ダメージコントロール
災害時など有事のときには、ダメージを最小限にする行動をとらなくてはなりません。そのためには、情報のコントロール、時期に応じた指揮系統の見直し、現場が活動しやすいような配慮などが求められる場合があります。その際に大切なのは事前の「準備」「イメージ」です。これには経験が大変重要です。防災訓練や施設への不審者対応訓練などが「経験」です。ですが「やった感」「おつきあい」の訓練ではまったく意味を果たしません。訓練の最中もさることながら、終わった後の「検証」により出てくる「人員配置」「足りなかったこと」「別の有事への想像」を考える時間が重要です。そこが危機管理のダメージコントロールの経験を積む重要なポイントとなります。

 

危機管理とは、「考え方」です。そして目的ではなく「手段」です。危機管理には柔軟な発想が求められます。時には突拍子もない提案が、問題を解決に導きます。
有事が発生したときにダメージを0にすることは、到底できません。受けたダメージをどのように減らし、収束させるのかが重要です。いざというときにマニュアルを広げていたのでは、大切な時間が浪費されてしまいます。東日本大震災時は、想定していたつもりがその想定を超えました。そのときの対応には、ダメージコントロールするその人の考えや生き方からうまれるものなので、日々の意識が有事の際の対応に大きく反映されます。一方リスクマネジメントは想定される事態に対して一連の工程を指すのです。これはとても重要な工程であり組織の要となります。

 

巨大地震

子どものいる場所で巨大地震が起きたときのことを想像したことがあるでしょうか。巨大地震は全国どこでも起こる可能性があります。熊本地震では、活断層として考えられていなかった場所でも被害が出てしまいました。「自分は被害にあわない」と思っていた方が、残念ですが被災者となっているのです。
東日本大震災のときに被災された方が、まだ被災していない人に伝えてほしいとおっしゃった話があります。

「天命を待つ」「〝いつか来る〟は今じゃない」「今考えても仕方がない」「そのときにならないとわからない」「私を放っておいて」という人は、「人殺し」と呼んでもかまわない。防災・減災に関わる人は「人」を助けるために要援護者名簿を作ったり、一生懸命防災訓練をしたりしています。そういう方々が、震災のときにどうなったでしょうか。「人」を助けるために、「人」を家から出すために頑張って、逃げ遅れて死んでしまったのです。自分で生きようとしないのは「人殺しと同じ」です。だから、私を助けるために、逃げてください。防災訓練をしてください。

東日本大震災では、被災した方々がたくさんの教訓を残していかれました。もし、立てないくらいの地震が来たときに何ができるか、どうしたらいいのか。考えてみましょう。
もしも震災時に机がなかったらどうでしょう。たとえば公園で、自分の5歳になる子どもと遊んでいるときに地震がきたら……。想像できるでしょうか。あなたならどうしますか?
訓練では歩けても、実際の地震では立つことすらままなりません。阪神淡路大震災や、近年では熊本地震で被災した方々からは、「転んでしまい立つことすらできなかった」「柱につかまっていたが投げ出されるように床に転がった」という話が多く聞かれました。
あまりの激しさに笑ってしまい、「嘘だろ」なんてつぶやいていたそうです。室内ではテレビが飛び、周りにつかまるので精一杯。落ち着いてから着替えることで頭が一杯。財布と携帯だけ持って廊下から非常階段で降りたそうです。ある方はご自宅で地震の揺れに遭遇し、揺れが止まった時点で家族と外に避難されたそうです。子どもの手前、動揺を見せないようにしていたそうですが、手には子どもがいつも読んでいるジャンプが握られていたそうです。
このような日常とは違うことが起きたときにどうするのかを考えることが大切です。

 

災害時の子どもに必要な遊び

地震や津波などの災害が起こると、子どもは被災後にさまざまなストレスをためこむことになります。避難所では環境の変化や制限された生活を負担に感じます。また、高いストレス状態の親との関係も、子どもの心に負荷をかけてしまいます。
では、そうした子どものストレスを緩和するために、どのようなことをしたらよいのでしょうか。それには、「遊び」が重要なポイントとなります。遊びが子どもの心の負担を少なくするのです。ここでは、災害が起こった後に、子どもたちにどのように対応していくべきかを考えていきましょう。

災害後に見る地震遊び、津波遊びの必要性

被災地で「遊び場」を作ると、さまざまなことが起きます。おとなしいと言われていた子どもがとても活発に遊び、走り回り、木端で人形を作り、椅子を作ります。避難所では小さい声でしか話さなかった子どもが大きな声で歌い、みんなと遊びます。
福島で遊び場を開催したときのことです。そこではあるお母さんが泣いていました。その視線の先には、友達同士でブランコを押し合っている子どもがいました。気になったので話しかけると「あの子、震災が起きてから初めて私の手を離れて遊びに行ったんです」とのこと。お母さんは子どもと地震のときに一度離れてしまい、避難所で再会したそうです。それからその子はトイレでもお風呂でも、片時もお母さんから離れなかったそうです。その日に初めて手を放して遊びに行ったのだと、涙ながら教えてくれました。
その話をカウンセラーの方にしたところ、震災後には手を離さない子どもがたくさんいて、そういう話は山ほどあるとのこと。そして、決まって手を離れるときは「遊び」をきっかけにしているのだそうです。完全に離れるのはまだまだ先だと思いますが、まずは第一歩を踏めたことが、親御さんにとってはとても嬉しい時間だったと思います。
ところが、「遊び」とひと言では言い切れない遊びが、災害後に見られます。それが「地震遊び」「津波遊び」です。よく、この遊びは不謹慎と言われますが、子どもが気持ちを整理する方法としてときどき見受けられるのです。
大人は気持ちを整理するために、たくさんの言葉で気持ちを外に出し、心を落ち着かせます。ですが言葉の数を持たず、使い方もつたない子どもは、ストレスを心にためてしまいます。そして時には、自傷などの行為で表現をします。
多くの子は、そのためた気持ちを「遊び」に転化して、心にたまったものを整理して出すことができるのですがそれが本当の状態とは言い切れません。そのような状態の時にでてくる遊びが「地震遊び」「津波遊び」となります。 阪神淡路大震災のときには机の上に木端を乗せて、学校や家をジオラマのように起き、どこからか持って来たジッポーオイルをかけて燃やして遊んでいた子たちもいたそうです。東日本大震災でもそうですが、このような見た目が暴力的な遊びでも、子どもたちにとっては心の奥を整理するためのステップとなっています。「心の整理」には、「遊び」が必要だということです。
実は東日本大震災のときには東京でもこうした遊びが見受けられました。直接被災していなくても、テレビなどの映像で心が被災をしたときには、こうした行動をする子どもが現れます。ある親御さんは、子どもがユーチューブで津波の映像を見た後の表情や行動がおかしかったと話していました。パソコン禁止にしたところ、元に戻ったそうです。被災地でも、被災地から距離があっても、災害が子どもの心を傷つけてしまうことには変わりありません。

「遊び」は子どもにとって「生きる行為」そのものです
被災地には「子どもの遊び場」があることが大切です

もし、被災地の出来事や学べたことがあったら嬉しく思います
被災地支援では支援金が無いと活動ができません
もしお力をいただければ被災した方々の為に使わせていただきます

胸の中には何が残ったでしょうか。
読んでいただきありがとうございました。

※この文章は2017・12・4 に東京都練馬区の石神井で行われた「危機管理」講習の為に作られた資料の編集と加筆をさせていただきました。

 
 

著者 Profile

早川 大 (ハヤカワ ハジメ)
防災団体bousaring 代表/株式会社kipuka 代表
防災士/危機管理アドバイザー/プレーワーカー(プレーリーダー)
Cone認定 自然体験活動リスクマネジメントディレクター
NPO プレイグラウンド・セイフティ・ネットワーク 理事

【 主な活動内容 】
・防災・減災・防犯に関する助言・提言(平時・緊急時・災害時)
・防災・減災・防犯の講習(平時・緊急時) 対象 子ども 保護者向け
・防災・減災イベントのプロデュース・アドバイス(自治会・社協・施設向け)
※防災支援イベント「あそぼうさい」をプロデュース
・防犯・防災・減災対応マニュアル作成支援(平時)
・防災・防犯用品作成支援(平時)
・企業防災・防犯・減災支援(平時)
・講師マネジメント
・災害時に開設される災害VC支援
・避難所運営訓練支援(平時)
・応急手当て訓練支援(平時・緊急時・災害時)

【 子ども関連】
・子ども・保護者向け防災講習(平時)
・冒険遊び場運営者・被災地活動者向け 応急手当て訓練支援(平時・緊急時・災害時)
・プレーワーカー育成支援(平時)※危機管理対応・応急手当て対応・発達障碍対応等
・冒険遊び場・プレーパーク立ち上げ支援(平時・緊急時・災害時)
・冒険遊び場・プレーパーク運営支援(平時・緊急時・災害時)

【 経歴 】
1974年3月27日生まれ。2000年~社会の安全神話に疑問を感じ危機管理会社(有)クライシスインテリジェンスの起業に参加。コーディネーターとして従事。
2002年~「大人ができる子どもの安全管理」に関心を持ち、研究を始める。
2004年~子どもの目線を学ぶためプレーワーカー(プレーリーダー)を開始。子ども・地域向け「危機管理アドバイザー」として活動を開始。

【 過去/現在の活動実績 一部抜粋】
・東大和市青少年育成プログラム 防犯講習講師
・防疫用品販売会社 新型インフルエンザに関するWeb作成支援(監修)
・山形県にて福島からの避難者・保養支援の「山形プレイパーク」の立ち上げ運営支援
・福島県南相馬市「みんな共和国」遊び場支援
・福島県茂庭プレーパーク遊び場支援
・横浜獣医師会主催イベントにて「震災と防災」をテーマで講演
・東京都「こども防災協議会」立ち上げ運営支援
・山形県南陽市豪雨災害VC運営支援
・熊本県地震益城町災害VC運営支援
・新潟県糸魚川市大規模火災災害vc支援
・世田谷区松原5・6丁目避難所運営訓練支援(アドバイザー)
・福島県 NEALリーダー養成講座講師
・金沢文庫芸術祭 救護講習講師
・銀河の森プレーパーク 応急手当講師
・東京都立光明学園防災推進委員
など

株式会社 kipuka

◆弊社は主に会社や組織、地域に住む子どもたちを災害や犯罪から守るための危機管理を考え、実践するための会社です。
誰でも、自分や家族や友人、地域の人々を守るための防災や防犯について、考えたことがあると思います。2011年3月11日の大震災後はとくに、防災・防犯への意識が高まり、対策を考える機会や、マニュアルも増えてきました。防災用品を用意した人や、災害時の訓練などに参加した人も多いのではないでしょうか。
しかし、それらのうちのほとんどは、“大人”を基準にしたものです。
地震や火事が起きたときや、知らない大人に話しかけられたとき、子どもはどんな行動をとるでしょうか。子どもはときに、大人が予測できないような行動をとる場合があります。信頼できる大人が側にいない場合や、パニックに陥ってしまった場合は、なおさらです。残念ながら現在、このような分野を専門に研究する人や組織はとても少ないのです。
◆ 「子ども」には、「子ども」の危機管理を。
そこで私たちは、実際の子どもたちとのふれあいや被災地支援を通じて、学び、研究し、実践してきた「子どもの行動や気持ちに寄り添う 危機管理の方法」を、もっと多くの人に知ってほしいと考えました。
大人たちは、非常時に子どもたちをどう守るべきかを知ってもらい、子どもたち自身にも、どう行動するべきかを身に付けてもらいたいのです。
みんながもっと安心して楽しく暮らせる社会を目指し、皆さんと情報や意見を交換しながら、具体的で役立つ方法を発信してまいります。
その他、実際の被災地支援活動や、社会人向けの講師やアドバイス等も行っています。

卓話スケジュール

今後の卓話スケジュールになります。

第171回 例会 2018年9月12日~2018年9月18日
卓話者 TBA

第172回 例会 2018年9月19日~2018年9月25日
卓話者 伊与田 あさ子 様(横須賀北RC)「ロータリーの友月間卓話」

第173回 例会 2018年9月26日~2018年10月2日
卓話者 藤村 仁 会員

第174回 例会 2018年10月3日~2018年10月9日
卓話者 TBA「米山月間卓話」

第175回 例会 2018年10月10日~2018年10月16日
卓話者 石田 裕樹 会員

第176回 例会 2018年10月17日~2018年10月23日
卓話者 松嶋 乃梨子 会員

第177回 例会 2018年10月24日~2018年10月30日
卓話者 地区大会出席者「地区大会報告」

第178回 例会 2018年10月31日~2018年11月6日
卓話者 大塚 和光 会員

第179回 例会 2018年11月7日~2018年11月13日
卓話者 TBA「ロータリー財団月間卓話」

閉 会

点 鐘

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