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第396回 例会2023年7月26日(水)0:00〜2026年8月1日(火)23:59 開催

開 会

点 鐘

ロータリーソング

ロータリアンの行動規範

会長の時間

2023-2024年度会長 大塚 和光

 皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。どれか当てはまるもので、先ずは、ご挨拶。2024-25年度会長を務めます大塚和光です。どうぞ、よろしくお願い致します。

 
 前回、水不足について理解を深めるには以下の4つのキーワードについて知っておく必要があることを示しておきました。
•水ストレス
•AWR(Annual Water Resource)
•バーチャルウォーター
•ウォーターフットプリント
 
 前の二つについては前回書きました。今回は残りの二つについて考えてゆきます。
 
バーチャルウォーターとは?
 作物や畜産物、工業製品の貿易を、それらを生産するために使用された水の貿易としてとらえた概念です。日本語では「仮想水」や「間接水」などと訳される場合もあります。
 
作物や畜産物を生産するために、どれだけの水が必要でしょうか?
 作物や畜産物を生産するためには大量の水が必要です。
具体的に日本で生産しようとすると、
 •小麦を1キロ生産するには、2,000リットルの水が必要
 •大豆を1キロ生産するには、2,500リットルの水が必要
 •豚肉を1キロ生産するには、4,500リットルの水が必要
 •牛肉を1キロ生産するには、20,000リットル以上の水が必要とされています。
 
バーチャルウォーターの日本の事例
 日本は食料自給率が低く農林水産省の発表によると、令和2年度におけるカロリーベース(※)の食料自給率は37%です。日本では60%以上の食品を海外から輸入することでまかなっており、他国からの作物や畜産物に依存していることが分かります。つまり、作物や畜産物を育てるのに必要な水を他の国に肩代わりしてもらっているおかげで、日本では水を不自由なく使えているのです。こういった日本の状況は「バーチャルウォーターに依存している」と言えるでしょう。

 ※カロリーベース:消費する食べ物の量をカロリー (熱量)に換算して、国内生産の食料でどれだけまかなえているかを示す指標。
 
ウォーターフットプリントとは
 バーチャルウォーターと似た概念として、ウォーターフットプリントと呼ばれるものがあります。バーチャルウォーターが「生産される際に使用された水の量」に注目しているのに対し、ウォーターフットプリントでは「生産から輸送、消費、消費後のリサイクルなど、全てのプロセスで使用された水の量」に注目しています。そのため、バーチャルウォーターはウォーターフットプリントを推定する際に参照されています。
 
ウォーターフットプリントの例
 オランダの非営利組織「Water Footprint Network」が発表した資料では、作物や関連する食料品における世界平均のウォーターフットプリントが紹介されています。
  •小麦が1キロ生産された後、消費されるまでに1,827リットルの水が必要
  •ジャガイモが1キロ生産された後、消費されるまでに287リットルの水が必要
  •トマトが1キロ生産された後、消費されるまでに214リットルの水が必要
  •オレンジジュースが1リットル生産された後、消費されるまでに1,018リットルの水が必要
  •コーヒー豆(焙煎済み)が1キロ生産された後、消費されるまでに18,925リットルの水が必要
 
G7における1人当たりのウォーターフットプリント
 日本を含めたG7諸国における1人当たりのウォーターフットプリントと、国内でまかなっている水の割合は以下のようになります。

出典:隠れた水―Beneath the Surface 世界水の日報告書 2019

 G7と呼ばれるような先進国でも、その内訳をみると他国の水に依存していることが分かります。これらの国では自国でまかなっている水の割合が低いため、作物や畜産物輸出国における水問題の影響を大きく受けてしまいます。表面的には水不足とは無縁のように思えますが、他国との貿易に依存している私たちにとって水不足は非常に身近で解決しなければいけない問題なのです。
 
水不足による影響・問題点
 では、水不足に陥るとどのような影響が引き起こされるのでしょうか。
 
世界で起こる水不足の影響
 水不足は主に発展途上国に影響を与えています。
水不足によって引き起こされる問題として、以下の4つが挙げられます。
 1.水を巡った争いが起きる可能性がある
 2.病気の蔓延
 3.子どもへの教育と女性の社会進出機会の損失
 4.作物の不足

 具体的に見ていきましょう。
 
水を巡った争いが起きる可能性がある
 人間は昔から様々な資源をめぐって争いを引き起こしてきましたが、水資源も例外ではありません。
人口増加や地球温暖化によって水不足の状態が悪化してきた地域では、
 •家庭または村レベルでの対立
 •不十分な水関係のインフラ設備をめぐるデモ活動
 •国同士での川やダムなどの水資源をめぐる対立
が発生しています。
 例えばシリアでは、2006年後半から3年にわたり、史上最悪と評されるほどの干ばつを記録しました。これにより、農村地区に住んでいた150万人近くの住民を都市近郊の地域へと移住に追い込まれるだけでなく、食料価格の高騰や子どもの病気の増加など社会情勢の悪化を招きました。シリアは2011年より内戦がおこっていますが、干ばつによる水不足は内戦を引き起こす大きな要因であると研究者は語っています。
 
病気の蔓延
 水不足は子どもの病気を蔓延させ、死亡率を引き上げる危険性もあります。
 人間が生存していくには飲み水としての淡水が必要です。しかし、水不足によって清潔で安全な水を入手することが困難になると、土や砂、家畜の糞尿が混じった不衛生な水を飲まざるを得ません。当然そのような水には細菌やミジンコが発生し、下痢や寄生虫による病気、慢性的な結膜炎を引き起こします。
 ユニセフの報告によると、こういった不衛生な水を摂取している地域では、子どもの4.6人に1人が命を落とし、下痢は死亡原因の約15%にものぼるとのことです。
 
子どもへの教育と女性の社会進出機会の損失
 人が居住する周辺に井戸や湖などの淡水資源がなければ、遠く離れた場所へ水汲みに行かなければいけません。水汲みは多くの場合、子どもや女性の仕事とされており、学校に行く時間さえないような事例もあります。教育を受けられない子どもたちは大人になっても十分な賃金をもらえる仕事に就くことができないため、社会進出する機会を損失します。
 
作物の不足
 水不足の影響は水道が引かれていないような発展途上国にて顕著ではありますが、一部では先進国でも影響が見られます。アメリカでは作物の大量生産を行っており、そのほとんどが灌漑農業(※)によってまかなわれています。また、灌漑農業を地下水に依存している事例は多く、地下水が枯渇することは作物の不足を引き起こします。
 また、大量に生産されるトウモロコシなどの作物は家畜のえさとして利用されることも多いため、灌漑農業への水不足は食用肉の生産量低下にもつながります。

 ※灌漑農業(かんがいのうぎょう)とは、農作物の生育に必要な水を外部から人工的に供給する農業のこと
 
日本で起こる水不足の影響
 日本は水道や下水道などの水関係インフラ設備が整っているため、一般的に水不足に陥るケースは少ないものの、海外の作物不振の影響を強く受けることが予測されています。
 日本で販売されている安価な食品は海外から輸入してきているものが多くを占めます。 そのため、海外で水不足が発生し作物不振に陥ると、日本への輸入量の減少や販売価格の高騰などは逃れることができません。実際過去には、アメリカの大豆が不作だった年に輸出規制が行われ、日本でのアメリカ産大豆の価格が3倍にまで上昇した事例もあります。

地球全体の水の量が足りていない?
 ここまで水不足の概要についてみてきました。次は水不足の原因を確認しますが、その前に知っておくべきことがあります。日本の水文学者、沖大幹は著書「水危機 ほんとうの話」の中で、水不足で困っている地域があるけれど、地球全体の水の量が人類の需要量を越えているわけではないと指摘しています。次回はその辺りから見てゆきます。

幹事報告

2023-24年度幹事 原 いづみ

◆米山奨学セミナー/世話クラブカウンセラー・クラブ米山担当者 研修会のお知らせ◆
 日  時:2023年8月20日(日)14:00~17:00 (受付13:30開始)
 場  所:藤沢 相澤ビル8階
 基調講演:米山記念奨学会副理事長  相澤 光春 様  
      よねやま親善大使    陳 瑶 様
 研 修 会:世話クラブカウンセラーの役割、米山危機管理について 
       危機管理委員長 石田 隆 様

※2023年8月1日(火)までに出欠の回答を幹事へご連絡ください。
  出席対象者:会長・幹事・世話クラブカウンセラー・クラブ米山担当者 

委員会報告

出席委員会

第395回例会 出席率 66.6%
会員数 3名 出席者 2名 欠席者 1名

Visitors

第395回例会のビジターコメント

札幌ロータリークラブ 小山 信 様


6月に引き続き2回目の参加です。今週の卓話興味深く拝見させていただきました。特に七夕の話。知りませんでした織姫と彦星がまさか夫婦とは!働き者が働かなくなるほどなんてなんとラブラブ(死語)なことなのでしょうか。そして織姫の御父上がなんと天帝とは。ということは彦星は婿養子なのでしょうか。Webで調べてみると牛追いを生業とする青年でした。さぞかし織姫は見目麗しい姫なのでしょう。話は変わりますが、私の住む北海道の七夕は8月7日です。小さなころは夕方になると提灯をつけて「ローソク出せ出せよ。出さないとひっかくぞ。おまけに食いつくぞ」と今考えると脅迫じみた怖い歌詞の歌(笑)を歌いながら近所の家を回ってろうそくやお菓子をもらったものです。今はマンションが立ち並びこんな風習もあまり見かけなくなり少し寂しくもあります。
また機会がありましたら参加させていただきます。ありがとうございました。
 

小田原ロータリークラブ 大谷 真 様


水ストレスという言葉、初めて聞きました。そして内容を見て改めて、身近な水という当たり前な存在に深く興味を持ちました。学校や公園等に設置されている蛇口から直接水を飲んでいた子供の頃から考えると、いつの間にか今では当たり前に水はお金を出して購入しています。まだ30年か40年しか経っていないのに、水の価値というものが急激に変化していることに気づいていながら看過していたのかもしれません。改めて身近な水や空気の大切さを認識いたしました。
 

綾瀬春日ロータリークラブ 笠間正二郎 様


綾瀬春日ロータリークラブよりメイクさせていただきました。笠間正二郎と申します。よろしくお願いいたします。例会に参加させていただき、卓話拝見させていただきました。七夕という小さいころから浸しんできましたが、最初は、宮廷行事で星祭の行事だったのですね。裁縫・技芸の上達を祈っていたそうですが、今の日本は、みな自分の願い事をしていますね?それはそれで時代に合ったもので、良いとは思いますが。勉強になりました。ありがとうございました。

Smile Box

第395回例会のスマイル報告

前回はありませんでした。

今週のプログラム

卓話:秦野名水ロータリークラブの消防車贈呈プロジェクト

前書き

 今週の卓話には、父のクラブ(秦野名水RC)で実施されてきた消防自動車のタイへの寄贈のお話しを再掲載させていただこうと思います。
 7月に入り、福岡や鳥取、そして秋田と、日本各地で豪雨被害が相次いでおりますが、タイへ寄贈した消防車は現地で消火活動のみならず、水害が発生したときにも排水などで活躍されているとの報告をしばしば送って下さっています。ですので、前述の豪雨災害の時もふと贈られた車両のことを思い出しておりました。
 そのような時に、タイ側の窓口になって事業開始当初からずっとお世話になっているシリPGが来日されるということで、この例会の会期中に何度かお会いすることになっております。そこで、数年前にタイの法律が変わったことで棚上げになってしまったこの事業の話も当然することになると思いますが、この5年程は現地での関係省庁との交渉も難しいようで進展がないのが歯がゆいところです。
 私自身もお手伝いさせていただいておりますので全くの部外者ではないものの、余所のクラブのことではありますが、昨年地区の国際奉仕委員会のセミナーでグループディスカッションになったときにこのプロジェクトの話をしたところ、興味をもっていただき質問も頂いたりしましたので、この機会に掲載させていただきます。
 
 以下は、第87回例会(2016年12月7日~12月13日開催)にて掲載された内容になります。従いまして、本文に出てくる役職や数字などについては、当時のものであり、現在とは異なる場合があります。

原 いづみ

 

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秦野名水ロータリークラブの消防車贈呈プロジェクト

秦野名水ロータリークラブ 原 郁夫 様

 
 秦野名水RCのタイ国、RI3340地区への消防車贈呈プロジェクトは、2004~2005年度に私が会長の時にスタートいたしました。
 私は若いころ、地元の消防団に所属して、後期は団本部におり、20年に及ぶ消防団の活動を行ってまいりました。このような経験の中で、常備消防、防団車両が一定年数で更新され、廃車されてしまうのがもったいないと思っておりました。特に団車両は、消防署の車両に比べたら走行距離が少なく、年数は経っていても常に点検・整備はされており、難ら問題は無い車両です。
 私は、この更新車両を途上国へ送ってあげることができればいいな、と常日頃思っていたので、消防本部の職員に色々と話を持ち掛け、相談をしておりましたが、職員の方も理解は示してくれるものの、役所ですから色々難しい点が多々あり、私はまず自ら古物商の免許を取得して準備をしてまいりました。
 ある時、私が属している会の席で当時の秦野市長(二宮前市長)にお会いした時に、古い消防車を途上国へ送ってあげたいという私の考えを伝えたところ、市長がメモを取られておりました。それから一週間が過ぎた頃、消防長からお電話があり、「原さんが先日市長に提案された件ですが、提供します」とのことで、やはり社長(市長)と交渉するのが一番早いと思いました。
 その後、クラブの理事会に早速提案しましたが、我がクラブでは初めての国際奉仕、また輸出関係の仕事のメンバーはおりません。海外については無いナイづくめのプランに大丈夫なのか、できるのか、といった心配の意見がありましたが、あるパスト会長が「会長がやりたいと言うのだからスタートしてやってみようじゃないか」と背中を押してくれ、こうしてようやくクラブのプロジェクトとしてスタートすることが出来るようになりました。
 その後、以前からお世話になっていたガバナー事務所の柚木さんにお手伝いいただき、東南アジアのガバナー事務所に「秦野名水RCが中古消防車を贈りたい」とのメールを送っていただいたところ、タイ、台湾、フィリピンの三カ国のガバナー事務所から手が上がり、最終的にタイ国の3340地区、当時のスラットガバナーとこのプロジェクトを進めることになりました。
 書類の作成等、柚木さんには色々なことでお手伝いをしていただきましたし、譲渡証明書やら輸出用の車検証などは、付き合いのある車のセールスマンにアドバイスしていただいたりしながら、クラブのメンバーはもとより、そうした枠を超えて多くの協力をいただきつつ、色々と手探りでチャレンジをしてまいりました。

※2016年6月30日 秦野市消防本部で行われた贈呈式より

 

 私ども秦野名水RCの役割としては、秦野市より消防車を寄贈していただき、その車両を輸送する船便を探してコンテナとして積み込み、バンコクへ送り出すまでを担い、バンコクでの入関などの諸手続きと、現地(車両の寄贈を受けるクラブ・地域の所在地)への移送は、タイのRCが担当するということでこのプロジェクトは行われております。この中で、最も重要なプロセスともいえるタイ国への輸出のタックスフリーの許可申請などについては、3340地区の方で手続きをしていただいております。しかし、政府からタックスフリーの許可を取るのにとても時間がかかってしまい、私が会長の年度にスタートしたプロジェクトではありましたが、実際にタイに消防車を送りだせたのは次年度になってしまいました。タイ側での手続きに時間が要するということが、このプロジェクトでの難点の一つでもあります。

 さて、初めての贈呈先には、3340地区2004~2005年度ガバナーのスラットガバナーの所属されていたナコンパノムRCを通してナコンパノム市に贈ることになり、贈呈式には秦野よりナコンパノム市に出向いてまいりました。当時、我クラブには消防団OBが3名おりましたので、贈呈式で私たちは実際に放水などのデモンストレーションを行うなどしてきたのですが、現地の消防署員・ボランティアの方々は大変熱心に見学してくれておりました。単なる贈呈式のセレモニーのみにならず、また車両を送ったら完了ということにはせず、簡単ではありましたが、現地で多少なりとも指導ができたことも、消防に携わったメンバーがいる私たちのクラブで始めたからこそできるポイントです。
 

※ナコンパノムでの贈呈式およびデモンストレーションの様子

 

 現地での歓迎は本当にすごいもので、盛大に迎え入れていただいたことも嬉しかったのですが、中古の消防車でも新品の消防車と同じだと、そのような車両が日本から寄付されるということをとても喜んでくれているのが現地に行って大変伝わってきました。私は当時、自分が会長の年度だけ出来ればと思っておりましたが、贈呈式に参加してくれた当クラブのメンバーたちが「こんなに喜んでくれるなら続けるべきだよ‼」との声が上がり、帰国後早速消防本部に報告とともにお願いに伺い、新しい市長(現、古谷市長)からもご理解をいただき、二回目は二台の消防車を譲っていただけることになり、一台は前回と同じナコンパノムRCに、そしてもう一台はトラートRCに贈ることが決まり、贈呈式には前回参加したメンバーに加え別のメンバーも参加してくれました。
 現地のRCのメンバーによるタイ国において消防車の必要性についての懇願、そして我クラブからの参加者より「もっと続けよう‼」という声で、このプロジェクトは秦野名水RCの国際奉仕における継続事業としてその後も10年以上続けられ、現在これまで3340地区に15台、ラオスに1台を贈ることが出来ました。

 消防本部より譲っていただく消防車は、年度によって消防団車両であったり、消防署の車であったりしますが、常備消防の車両によっては、私たち消防団の者では扱ったことのない車両の時もあり、近年では消防署のOBにお願いして贈呈式でタイを訪問するときに同行していただき、現地で指導をしていただいております。また、二回目の贈呈式で3340地区を訪問して以降、毎回識字率向上ということで、現地の子供たちに文房具を届けたりもしております。因みに、当クラブでは消防車の贈呈を進めながら、他にもブータンへの水のプロジェクト、フィリピンへの図書館や井戸への援助というような国際奉仕も行っております。
 

※現地学校訪問、文房具やサッカーボールの贈呈式後の記念撮影

 

 最初は、3340地区ガバナーのスラットさんから始まりましたが、担当された方はシリさんという方で、後にガバナーを務められた方ですが、現在でもシリさんを窓口にして3340地区内の色々なクラブに贈り先を決定していただいており、タイ側での諸手続きをしていただいております。時々シリさんとのやり取りの中で、半ば冗談でもう何年も消防車を贈ってばかりなので、そろそろ止めますか?と話したりするのですが、その度にまだまだタイでは消防車を贈られるのを待っている地域がたくさんあると、ウェイティングリスト(待機リスト)が有ると明かされたこともありましたし、タイのあるクラブからは直訴のような、直接依頼を受けたこともありました。贈呈式で現地に向かう時は視察も兼ねておりますので、必ず消防署などにも見学に向かいますが、古い車両をずっとメンテナンスしながら使い続け、本当に使えなくなるまで使い続けているという状況は見てきてよくわかりますし、また行政上予算の都合上配備できない地域もあるようで、つい先日贈った地域もそういう所だったそうで、こうした話を聞くと、やはり需要はまだまだあるのだと実感しております。
 

 さて、その最新の贈呈についてですが、今まで毎回贈呈式は秦野名水RCがタイへ出向いて行っておりましたが、前年度は6月末に3340地区よりシリさんを団長にトラートRC、シュンペイRCの皆様と現地の消防署長や消防団の方たちに我秦野市を訪問していただき、当時の田中ガバナーにも出席していただき、秦野市消防本部に於いて古谷秦野市長はじめ消防長出席の上、贈呈式を行いました。式典の後、秦野市消防本部、消防本署に於いて職員より本署にある車両についての説明や訓練の様子を見学していただき、タイの消防署長は色々と大変熱心に質問されておりました。さらに、ロータリアンからはこの車両(救急車やはしご車等)が欲しいなどといったリクエストがいっぱいございました。

※秦野市消防本部を見学し、色々説明していただきました。

 

※タイへ送られる消防車をバックに、インタビューを受けるシリPG。
 神奈川テレビや読売新聞など、たくさんのメディアが秦野での贈呈式様子を取材にきていました。

 

※贈呈式にて、レプリカキーおよび目録を贈呈後の記念撮影
左から米山会長、古谷直前会長、シュンメイRC会長、トラートRC会長、
シリPG、古谷市長、秦野市消防長、総務課長

 


※元RI会長 ビチャイ・ラタクル氏のご自宅にて
後列左より、ラタクル氏秘書、シリさん、私と妻、娘
前列左よりラタクル氏の奥様、シリさんの奥様、ラタクル氏、シリさんの娘さん

 

 最後に、先日の贈呈式の準備をしている際にシリさんより嬉しい報告を受けたことをご紹介して終わりにしたいと思います。
 それは、今まで秦野からタイへ運ばれた全ての消防車両が現役で活躍をしているという事です。暑い国ですので、タイヤの摩耗が激しく、何度も交換をしたりメンテナンスをしながら使い続けているという事ですが、10年も前に秦野で廃車になるはずだった車両が、勿論使用するには全く問題のない車両でしたが、その車両が今でもタイで活躍しているとは大変な驚きではありましが、とても嬉しい報告でした。これからも可能な限りこのプロジェクトを続け、そこから派生する交流や絆を深めていけたらと願っております。
 

※秦野市消防本部での贈呈式記念撮影

 

※ナコンラチャシマに到着した消防車

 

※ナコンラチャシマRC直前会長のピッタヤ氏の工場にてペイントが付され・・・

 

※2016年9月12日、ナコンラチャシマRCよりナコンラチャシマ市に贈呈され、
 既に現地で活躍しているとのことです。
 残りの2台については今年中にタイへ向けて送り出せるよう、現在タイ側で手続き中。
車両は秦野で待機し、新しい任地で活躍できる日を待っています。

 
 
 
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後書き

 前書きにも書きましたが、このプロジェクトには私自身も開始当初からお手伝いさせていただいておりまして、色々と思い入れもあり、自分がロータリーに入会し、会長になることが決まってからは、自分が会長年度の事業として実施したいと思っておりました。
 日本側での手続きについては、長年手伝ってきたことでノウハウは身についていましたし、資金的な面では地区の補助金も得られたので、補助金の方の完了報告書の期限とギリギリになるとハラハラしつつも無事に完了できるだろうと思っていたものの、先述のとおりタイでの中古車輸入に関する法律が変わったということで、断念せざるを得なかったのは未だに心残りです。
 補助金申請のために寄贈予定地の現地RCから当時使われていた車両の写真を資料で使うために送ってもらったのですが、元々は赤い色をしていたであろう車両が色あせて白がかった薄い赤というかピンクというか、父曰く「日本ではこんなに古い車両は見ない」というような車両で、しかもその車両は給水タンク車に放水ホースを付けて消防車としてしようしているという車両でした。
 こうした簡易の車両ですので、その能力には当然ながら限界があります。この車両で対応出来ない火事となると、本土(寄贈予定地は島でした)から正規の消防車両が来るのを待つしか無いのだそうです。日本では考えられないことでしょう。
 日本では考えられないことというと、よく大きなはしご車を欲しいという要望も受けていたのですが、正直なところ、贈呈式で訪れる僻地のようなところでははしご車を必要とするような高層の建物が全くないので、何故そうした車両を望むのか訊いたことがあるのですが、その理由が全くの驚きでして、皆さん想像できるでしょうか。何故かというと、細い路地のようなところでは消防車が入っていけないので、そうした所ではしご車だと離れた所でも高い位置から放水すれば水が届くから欲しいのだとのことでした。

 父が一度目の会長の時に始めた事業で、二度目の会長の時までずっと続き、約12年間で18台ほど贈ったと記憶しておりますが、今でも最初に贈った車両でもメンテナンスを繰り返しながら活躍しているそうです。プロジェクト自体は止まってしまっても、現地とのやりとりは続いており、時々写真などを交えて使用状況などを報告してくれています。
 これは私たちにとって大変うれしいものであることは勿論ですが、車両を寄贈してくださった消防署や市役所の関係者の方達にも喜んでいただいており、贈ったらそれでおしまい!でもなく、もらってそれでおしまい!でもないというところも、このプロジェクトに関わった者として誇りに思うところです。

 この事業を手伝ってきて学んだこと、経験したことは数え切れないほどです。ですが、父のクラブのお手伝いはともかくとして、自分のクラブの方でもやってみるとなったときに、既存スタイルのクラブと違って地域性がないことがある種の障害になると言うことを大いに痛感しました。
 当初は車両の寄贈先を探すところも自分のクラブのメンバーに働きかけをお願いしておりましたが、そこで返ってきたのは「○○市のクラブでないなら、会長さんの(住んでる)市から貰ってください」とか、既存スタイルのクラブに行政側が気を遣って断わられるといったこともあり、地域にとらわれない活動が出来ることがこのクラブの強みであるはずなのに、それが大きな弱みとなってしまったのでした。
 しかしながら、これは愚痴になりますが、その「○○市のクラブではない」と言われた行政からは、担当者は違えどその市で寄付金や協力金集めなど、要は何か市行政に協力して欲しいような時には「○○市のクラブ」として協力依頼の案内が事務局に届きます。勝手ですね。

 色々なことがありましたけれど、そして再開させるのは容易ではないと思いますが、またいつかタイでの中古車に関する輸入の法律が変わり再開できるようになったら、現地ではウェイティングリストが出来ているというほど需要のあったプロジェクトですので、D3340各地に消防車を届けるためにお手伝いさせていただきたいと思っております。

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