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第428回 例会2024年4月10日(水)0:00〜2024年4月16日(火)23:59 開催

開 会

点 鐘

職業奉仕 四つの反省

ロータリーソング

会長の時間

2023-2024年度会長 大塚 和光

 皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。どれか当てはまるもので、先ずは、ご挨拶。2023-24年度会長を務めます大塚和光です。どうぞ、よろしくお願い致します。
 

 前回に続いて、今回から災害への対応について見ていきましょう。

世界各地で発生する災害への対応
 1990年から2013年の間に災害によって命を落とした人の約90%が、所得が低い国、  いわゆる開発途上国に住む人々です。特に家屋損壊は深刻で、統計によると1990年以降大きく増え続けています。低所得国を中心に、世界的に災害対策の弱さが浮き彫りになっているのです。
 過去40年にわたり自然被害が増えたと同時に、移住・避難をしなければならない人も増えています。

参考:国連SDGsレポート

 

出典:内閣府防災情報ページ

 

出典:内閣府防災情報ページ

 

出典:内閣府防災情報ページ

 

出典:ユニセフ

 
洪水や地震などの災害は、いつどこで自分に降りかかってくるか分かりません。予期せぬ災害が起こっても、小さな被害で済んだり、早い復興ができたりする強い街づくりが求められます。
特に貧困地域でひとたび災害が起こると、通常より復旧に時間がかかるため貧困が加速する恐れがあります。そのため、災害が起きても「被害を最小限に抑えるためのインフラ構築」や「被災してもすぐに復旧できるような支援体制」を整えることが必要です。
日本が発出する「仙台防災枠組み」は上記の課題を解決する指標になっており、さらなる実施が期待されます。

参考:国連SDGsレポート2018

 
脆弱な交通機関に関する問題
 交通機関を充実させることも、SDGs目標11を実現させるためには必要不可欠です。 特に、貧困地域は舗装されていない道が多くあります。貧困地域では、脆弱な交通機関により食品ロスも発生しています。貧困地域に住む人の多くは農業で生計を立てていますが、交通機関が整っていないので農作物の出荷が難しくなっています。途上国で食品ロスされる約40%が、収穫後に起こっている事態です。せっかく収穫をしても輸送できずに腐らせてしまい、結果的には「廃棄」につながっています。
 交通システムの改善をすれば、
  •スムーズな輸送によって、食品ロスの削減になる。
  •農作物が市場で売られるようになり、農民が貧困からの脱却を目指せる。
などの良い循環が生まれます。
 しかし、交通機関を開発するにあたっては環境への配慮も必要です。無作為に道を切り開いたり、工事車両の往復で大量の排気ガスを出したりすることは、環境に負荷をかけるため、住み続けられるまちづくりとは言えません。人にも自然にも優しい方法で、交通機関の充実を進めていくことが求められています。

幹事報告

2023-2024年度幹事 原 いづみ

◆休会のお知らせ◆
 ◇臨時休会:諸般の事情により、2024年4月17日~2024年4月30日の間、2回分を休会といたします。
 ◇予定休会:アーカス湘南ロータリークラブ定款第6条第1節により、2024年5月1日~ 2024年5月7日に
       つきましては休会といたします。
 ※次回例会は、2024年5月8日(水)~2024年5月14日となります。
 

◆ロータリーレート◆
 4月 1ドル=151円
 

◆ガバナー月信4月号◆
 下記よりご覧ください。
 【ガバナー月信2023第4号
 

◆台湾東部地震への支援金依頼について◆
 「台湾東部に発生した大地震による被災地に対し、支援金を募ることになりました。」とのことでガバナー事務所より依頼が届いています。
 詳細は下記よりご覧ください。
 【台湾東部地震への支援金依頼_クラブ宛て
 なお、当クラブからは突発寄付積立て金およびスマイルより拠出する予定ですが、別途追加で寄付をご希望の方は2024年4月30日(日)までに幹事へご連絡ください。

◆次年度向け会員増強セミナー開催のご案内◆
 「5月19日(日)開催、次年度向け会員増強セミナーのご案内を添付にてお送りいたします。」とのことでガバナー事務所よりメールが届いておりますが、メールに添付が欠けており、本例会更新前に届いていないためこちらのご報告のみになります。

委員会報告

出席委員会

第427回例会 出席率 66.6%
 会員数 3名 出席者 2名 欠席者 1名

Visitors

第427回例会のビジターコメント

小田原中ロータリークラブ 安藤 譲 様


アーカス湘南Eクラブには久しぶりにメークアップで訪問させて頂きました。
神奈川県内初のEクラブとして誕生したクラブで現在、総員が3名にまで減少しているとは存じ上げませんでした。
メークアップはなるべくアーカス湘南へ訪問させて頂いて些少ですが応援して参りたいと思います。
 

宇佐八幡ロータリーークラブ 永松 何奈子 様


初めて貴クラブへメークアップさせていただきます。
大塚会長がお話された都市人口増加によりスラム街人口も増え、尚且つ大気汚染にもつながっていくことを改めて深く考えさせられました。
ロータリーは最近環境問題にも積極的に取り組んでいるように感じております。
世界中の人が安心して生活できる場の提供が可能なのは
私たちロータリアンだと思います。
様々な職種が集まる良さを活かし、将来に向けて少しでも良いことに取り組んでまいります。

Smile Box

第427回例会のスマイル報告

前回はありませんでした。

今週のプログラム

卓話:環境月間

環境問題とは

アーカス湘南RC 大塚 和光

 

 世界中で起こっている環境問題の種類についてご存じでしょうか。
 「環境問題といわれても、漠然とした印象しかない」という方もいるかもしれません。しかし、環境問題はSDGsの掲げる17のゴールの多くに関わる重要な課題であるとも言えます。そこで、先ず環境問題の種類にはどのようなものがあるか見てゆきます。
 環境問題の定義や種類、そして、最近注目を集めているサステナブル社会やSDGsとの関係も理解してゆきましょう。

 環境問題とは、人間の活動による地球環境の変化によって起こる様々な問題のことです。環境問題は地球規模の問題に発展することが多く、人類の将来にとって大きな脅威になると考えられています。現在、環境問題は大きく分けて次の7種類に分類されています。
  1.海洋汚染
  2.化学物質・有害廃棄物の越境移動
  3.オゾン層の破壊・地球温暖化
  4.生物多様性の減少
  5.鉱物資源やその他資源の減少
  6.森林破壊・砂漠化
  7.酸性雨
 地球規模で起こる環境問題は、各国が協力して解決すべき課題と考えられており、国は外交上の重要課題と位置付けています。
 

1 海洋汚染

iStock.com/richcarey

 海洋汚染とは、人間が排出したさまざまな物質によって海洋環境が汚染されてしまうことをいいます。近年はプラスチックごみによる海洋汚染が特に問題視されています。プラスチックは非常に分解されにくいため、長期間にわたり自然界に残り続けます。
 また、5mm以下の微細なマイクロプラスチックによる海洋汚染は全世界に拡大しており、北極や南極でも観測が報告されています。マイクロプラスチックは人体への影響が懸念されており、マイクロプラスチックを摂取した海産物を通じて人体に侵入する可能性があります。実際に生物の体内から検出された事例も報告されています。
 プラスチックだけでなく、水銀やカドミウムといった有害な廃棄物によって海洋汚染が起きることもあります。しかし、こうした有害化学物質に関しては、比較的早くから国際法によって海洋投棄が禁止されてきました。1972年12月には「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドン条約)」が採択され有害廃棄物の海洋投棄を禁止。その後、1996年にはこの条約をさらに強化する「ロンドン議定書」が交わされました。

参考:環境省

 

2 化学物質・有害廃棄物の越境移動

iStock.com/FedotovAnatoly

 1970年代頃から、欧米諸国などを中心に化学物質や有害廃棄物を途上国に放置するなどの国境を越えた移動が行われるようになりました。その結果、途上国の環境汚染が進み、しかも最終的な責任が誰にあるのかが不明確であるという問題も生じてしまったのです。責任が不明確だと、回収責任はだれも背負うことなく見過ごされることに繋がる恐れがあります。このままでは更に有害物質の排出が進み、抑制や回収されることなく、環境汚染が更に進んでしまうかもしれません。
 こうした背景を受け、有害な廃棄物の国境を越える移動を規制する「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」が締結され、日本も1993年から加入しています。
 バーゼル条約の規制の対象となる廃棄物は数年おきに追加・更新されています。2019年には「汚れたプラスチックごみ」が新たに規制対象に加えられました。

参考:環境省

 

3 オゾン層の破壊・地球温暖化

 オゾン層は地球を取り巻き有害な紫外線などを吸収しています。しかし、冷蔵庫の冷媒や電子部品の洗浄剤などに使用されていたクロロフルオロカーボン(CFC)や消火剤に含まれるハロンといった物質が大気中に拡散されると光分解されることで塩素原子を放出し、オゾン層を破壊してしまうことがわかっています。
 こうしたオゾン層の破壊については1970年ごろから国際的な議論が始まりました。1985年3月にオゾン層保護のための国際協力を定める「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が、その2年後にはオゾン層を破壊する可能性のある物質を生産したり消費したりすることを制限する「モントリオール議定書」が採択されました。
 一方、人間活動によって排出される二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスに起因する地球温暖化も環境問題の一つだとされています。地球温暖化を含む気候変動の問題に対しては国連において「気候変動枠組み条約」が定められ、1995年から「COP」と呼ばれる締約国会議で対策が議論されています。
 また、オゾン層を破壊しない冷媒として代替フロンという気体が使用されていますが、代替フロンの中には地球温暖化の原因となる温室効果ガスも含まれることがわかっています。

参考:環境省

 

4 生物多様性の減少

iStock.com/sarayut

 私たち人類は地球上の多様な植物や動物とともに生活しており、時には植物や動物を食料や医療といった目的に活用することもあります。生物多様性の減少は、生態系の豊かさが損なわれるだけにとどまらず、私たちの暮らしとも直結する問題だといえるでしょう。
 近年は乱獲や自然開発などのさまざまな影響から野生生物の種がこれまでにないスピードで絶滅しているといいます。レッドリストに掲載される絶滅危惧種の数が増えているという話題を耳にしたことがある方もいるかもしれません。レッドリストとは、絶滅のおそれがある野生動物の一覧のことです。
 そこで、世界では、絶滅のおそれのある特定種の動物の取引に関する「ワシントン条約」や主に水鳥の生息地である湿地を守る「ラムサール条約」などを整備し、できるだけ多くの種が持続可能となるような対策を行っているところです。
 

5 鉱物資源やその他資源の減少

iStock.com/WhiteBarbie

 人間の経済社会の活動では、いろいろな資源を利用しています。電子機器などに活用される鉱物資源もその一つ。しかし、こうした鉱物資源も枯渇が心配されているのです。例えば、金、銀、鉛といった鉱物資源は、あと30~40年で採掘できなくなってしまうという見方もあります。
 こうした資源枯渇のリスクを回避するために、重要な考え方が「都市鉱山」を活用するというものです。「都市鉱山」とは、既に私たちが使っている電子製品の基板などに含まれる金属を指します。こうした金属をリサイクルすることで新たな鉱物資源を採掘する必要性が減り、資源をより持続的に活用できると考えられているのです。実際に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使われた約5000個の金・銀・銅メダルは、こうした都市鉱山によって集められた金属によって作られたものです。
 都市鉱山の活用はレアメタルの確保にも役立ちます。レアメタルとは、少ない埋蔵量や経済的、技術的な理由により採掘が難しい金属のことです。身近な例だと、スマートフォンのバッテリーに使われているリチウムや腕時計のバンドや自転車、航空機などに使用されているチタン、その他、プラチナやニッケルなどもレアメタルです。レアメタルは産業の競争力を左右する重要な資源であり、どのように確保していくかが課題とされています。

参考:経済産業省 物質材料研究機構・一般財団法人 日本環境衛生センター

 

6 森林破壊・砂漠化

iStock.com/alvarobueno

 世界の森林の約半分を占める熱帯林では、森林破壊が進んでいるとされています。1990年から2020年までの30年間において、森林破壊されたエリアの約9割が熱帯地域に起因していると報告されているのです。
 森林破壊は土地利用や木材の確保を目的とした、人間による伐採が主な原因とされています。また、森林火災もその原因の一つです。こうした熱帯林などの森林破壊は、生態系の減少と同時に地球温暖化を加速させるリスクも指摘されています。熱帯林には、地球温暖化の原因であるCO2を吸収するはたらきもあるからです。
 そこで、横浜市に本部を置く国際熱帯木材機関(ITTO)は、熱帯林が持続可能であるように合法的な方法で伐採された木材の貿易を促進することで森林の保護を行っています。
 一方で、アフリカなどの地域では深刻な干ばつなどによる砂漠化の問題も顕在化しています。こうした地域の砂漠化を緩和するため、国は「砂漠化対処条約」に加盟するとともに政府開発援助(ODA)などを通して支援を行っています。
 

7 酸性雨

iStock.com/jacquesvandinteren

 環境問題といえば酸性雨を思い浮かべる方もいるかもしれません。主に西欧諸国では1970年代ごろから酸性雨による生態系や遺跡、建造物などへの影響が注目され、対策がとられていました。近年は著しい経済成長を遂げつつある東アジア諸国でも同様の問題が発生しています。酸性雨も国境を越えた問題であることから、国際連携によって対策を講じることが必要だとされており2001年1月からは「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)」という地域体制が活動を展開しています。

参考:外務省

 

環境問題はいつから始まったのか
 このように人類の将来にとって深刻な影響をもたらす環境問題ですが、日本の歴史を振り返ってみると、これまでもさまざまな環境問題が発生してきました。特に、戦後の高度経済成長期に全国で相次いで起こった、イタイイタイ病、水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそくの四大公害は有名です。
 勿論、近代化の以前も人間の活動が地球環境へ与える影響はゼロではありませんでした。しかし、その影響は自然が本来持つ回復スピードを上回ることはなく、人間が環境に与える影響よりも自然界の回復力の方が勝っていたと考えられます。そのため近代のような重篤な環境問題になることは少なかったといえるでしょう。

参考:独立行政法人 環境再生保全機構

 人間の活動が環境に大きな影響を与えるようになったきっかけとしては、18〜19世紀にかけて世界中で始まった産業革命が大きな要因であると考えられています。この頃から石油や石炭といった化石燃料が使われるようになり、経済や社会が急速に発展していきました。世界の人口も急激に増え、自然界の回復力を超える人為活動が繰り広げられるようになりました。その結果、酸性雨やスモッグによる健康被害など、さまざまな環境問題が地球規模で発生し、徐々にその深刻な現状に目が向けられるようになっていったのです。
 1972年6月には世界で初めて環境問題を話し合った「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」がスウェーデンで開催されました。ストックホルム会議のテーマは「かけがえのない地球(Only One Earth)」とされ、環境問題が人類共通の課題であることが確認されたのです。
 

サステナブル・SDGsは環境保全のための取組み


 こうした数々の危機的な地球環境の状況を受け、2000年前後から「サステナブル社会(持続可能な社会)」や「SDGs(持続可能な開発目標)」という概念が国連などによって提唱され、環境保全を図るようになっていきました。
 「サステナブル社会」とは、将来の世代にわたって豊かに暮らし続けられるような、地球の環境と資源が調和した社会のことを指します。「サステナビリティ(持続可能性)」という考え方は、もともと、1992年6月の「国連環境開発会議(地球サミット)」で提唱されたものです。最近、さまざまな場面で「サステナブル」という言葉を頻繁に聞くようになりました。ファッションや食品、住まいなど、衣食住のすべてで使われるキーワードになっています。「サステナブル」というと、なんとなく環境に良いイメージがありますが、実際にどのような取組みを指すのかご存知でしょうか。
 2015年9月には国連において「SDGs(持続可能な開発目標)」という17の目標と169のターゲットが設定されました。これは、2030年に向けて持続可能でより良い社会を目指すために設定された世界共通の目標で、地球上の「誰一人取り残さない(Leave No One Behind)」を掲げています。
 今や、学校教育や企業の活動にも取り入れられるほどポピュラーなものになっているSDGs 。SDGsが掲げる目標やターゲットについては今年度に入ってから「会長の時間」で私の出来る限り、力の及ぶ限りですが、「わかりやすく」解説してきたつもりです。是非、例会のバックナンバーをチェックしてみてください。

 

個人で出来る環境保全活動
 ここまで読んでくださった方であれば、環境破壊を食い止めるため、何かアクションを起こしたい、と思っていただいた方もいるかもしれません。
そういった方でも、まず取り組みやすいのは、ゴミの処理をきちんとすることです。ゴミはゴミ箱に捨てる、プラスチックや容器のトレーは再利用ボックスに捨てるなど、当たり前のことを行うだけでも環境破壊を食い止めることに貢献ができます。

 勿論、こうした考えに対する疑問や反論はあります。最後に、そのことに触れておきます。

iStock.com/FatCamera

 経済思想家であり東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授の斎藤幸平さんはSDGsは「大衆のアヘン」であると警鐘を鳴らしています。彼の意見は以下のとおりです。

 「個々の取り組みを全否定するわけではありません。とはいえ意味があるかと問われれば、はっきりと無いと言えます。個人レベルで、マイバッグを持ち、プラスチック製のストローを使わないようにし、マイボトルを持って、フードロスをなくそうとブロッコリーを芯まで食べても地球規模の問題には対処できません」
 「環境問題ひとつとっても、昨年は世界の平均気温が観測史上最高を記録し、日常生活でも環境の変化を感じる機会が増えました。温暖化問題に本気で向き合うには、2030年までに温室効果ガスの排出量を約半分に抑えて、2050年には実質ゼロにするなど、極めて短期間で減らさなければいけません。そのためにはいまのやり方はまったく不充分で、やったふり。
 今後、気候変動だけでなく、予測不可能な災害やパンデミック紛争によって、経済格差はもっと広がり貧困問題も深刻化するでしょう。現状のような取り組みでは、“持続可能な社会”の実現は絶望的です」

 一般に、例え僅かな取り組みでも毎日コツコツと続けていれば地球の未来につながるのではないか、という考えで、私も「会長の時間」の記事に書いてきました。私達が普通に信じて行っていることは「無意味ばかりか有害である」と斎藤さんは踏み込みます。
 「SDGsに潜む大きな問題、そして危険性は、SDGsという言葉が独り歩きして“やったつもり”になることです。たとえば、着なくなった服をリサイクルボックスで回収してもらうと環境にいいことをした気持ちになります。“地球にやさしい”“環境保護に貢献している”と満足し、それ以上の行動をとらなくなってしまう。大切なのは不要な消費を控えることなのに、不要になった服をリサイクルしたことで罪悪感が消えて新しい服を買う人は少なくありません。マイバッグも、ひとつあれば充分なのに、いくつものバッグをコレクションしている。SDGsという甘い言葉に一時の許しを得て、問題の本質から目を背けて解決に逆行する行為を続けてしまう。SDGsはまさに、大衆にとって現代の“アヘン”です」

 環境省の調査によると、日本だけで年間約50万t以上の衣類が廃棄され、世界的に目を向けると約9000万tもの廃棄量になっています。分解されないまま海洋を汚染するパッケージ用プラスチックゴミの発生量は全世界で毎年800万tにおよび、日本はアメリカに次いで世界2番目に多い。野生生物は過去60年で約40%も減少し、森林減少のペースは1分間で東京ドーム約2個分と試算されるなど、その規模は危機的な大きさです。
 それに対峙するための取り組みが、マイバッグ、紙ストローであることに、どれほどの意味があるのかは確かに疑問符がつくように思えます。その上、“環境に良いことをした気分”に惑わされることで今よりも状況を悪化させていく、と言われると些か考えてしまいます。

 「肌触りのよいコットンの洋服を大量生産するために、どれだけのインドの人々が安い労働力として過酷な労働条件で綿花栽培をしているか。東南アジアのパーム油やブラジルの牛肉のために、どれだけの森林が伐採されているのか。先進国における“便利で豊かな生活”“安くて質のいい商品の提供”のために、途上国では低賃金で労働力が搾取され、手つかずの自然環境が破壊されていることにも想像を巡らせる人があまりにも少ないことが問題です」

 最近は、社会にあふれるエシカル(人や社会、地球環境に配慮した倫理的に正しい消費行動)な情報に「SDGs疲れ」を感じる人も増えているといいます。
 実際、昨年オズマピーアールとオルタナ総研が実施したSDGsに対する生活者意識調査によれば、企業が発信するSDGsに関する情報に対して「企業が発信する情報が多く、飽きや疲れを感じる」と答えた人は6割強に及んだというデータもあります。私たちは最早、“やったつもり”の行動にすら倦んでいると言えるのでしょうか。

 戦争や紛争の続く世界情勢を思うと無力感に囚われてしまいがちです。
 それでも、私は良き「ロータリー・イズム」を信じて「出来ることを、出来るだけ」やってゆきたいと思います。

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