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第285回 例会2021年2月10日(水)0:00〜2021年2月16日(火)23:59 開催

開 会

点 鐘

ロータリーソング

四つのテスト

会長の時間

2020-21年度会長 大塚 和光

 皆様、おはようございます、こんにちは、こんばんは。どれか当てはまるもので。

 右を向いても左を見ても「コロナ」ばかりの毎日です。新聞紙上に掲載される感染者や死者の数字も見慣れてしまい、段々と気にもならなくなってきているような気がします。いけませんね。世界の感染者数は、もうじき日本の人口を超えそうです。

 1月30日の朝日新聞・天声人語に飲み食いについての蘊蓄がありました。まず、歴史学者の原田信夫さんの「『共食』の社会史」という本を紹介しています。人が集まって飲み食いする「共食」は長い歴史を持ち、日本書紀には「同じ釜の飯を食う」という言葉に近いものがあるといいます。昔は食事と言えば家族や友人と一緒にというのが普通でした。家族が少なくなると共に「個食」という言葉も出てきました。この一年間で更に「黙食」が言われています。京都市では黙食と書かれたポスターを作り希望する飲食店に提供しているのだそうです。
 「孤独のグルメ」という漫画やドラマもありますね。おじさんが食べながらブツブツとひとり呟く不思議なドラマです。でも、この主人公のオジサン以外のお客は和気あいあいと食事しています。周りが皆で黙食ではオジサンのつぶやきも孤独に食べる男の渋さも引き立ちません。飲む方だって、歌の文句にある通り「一人で飲む酒、まずい酒」です。

 1月31日の朝日新聞に日本語学者で杏林大学教授の金田一秀穂さんが「緊急事態宣言を発出する」という日本語の表現について非常時のこうした言葉遣いの背後に何があるのかを次のように述べています。
 本来「緊急事態だ」と言えばよいはずなのに「緊急事態宣言を~する」とワンクッションある言い方には気を付けて、と言います。「宣言」は非日常の言葉で、何かとても偉く重々しいもののように聞こえてしまうのです。そこに「発出する」という耳慣れないお役所言葉が加わりますから一段と重要性を印象付けることとなります。
 金田一さんは言語行為論では何かを言うことそのものが何らかの行為になる、という考え方があるといいます。これは「緊急事態になった」というと、その真偽を議論する余地が生まれるが「宣言をだした」と言われると、宣言したこと自体が一つの行為となり、その宣言の内容の真偽は問題でなくなるというのです。何故緊急事態になったのか、どう緊急事態なのかは問われなくなってしまうのです。そうでしたよね。日本では、特に政府に言われてしまうと、それで終わりです。発令のタイミングが早いか遅いかという議論にしかなりません。緊急事態とは何なのかという問い返しをせずに、そのまま受け入れてしまうのです。その通りの進行でした。
 金田一さんはその背景には日本人に特徴的な「落としどころを探す」という発想があると言います。今回の新型コロナウイルス対策なら経済と医療の狭間の妥協点を見出そうとするのです。弁証法のようにAとBという問題に対してCという新たな解決策を作るのが西洋的な発想です。そうではなく、AとBの中間で、どこか折り合えるところを探す。誰もが賛成するのではなく、だれからも文句を言われないことを目指す解決法です。日本人は世間を重んじて「きちんとする」「しっかりやる」といった言葉を多用するようです。

 金田一さんは安倍晋三前首相が「しっかりやる」という言葉が大好きだったということを挙げて、これは「周りから見て文句を言われないように」ということであって「褒めてもらえるように」ではないといいます。日本人がとても大切にしている道徳律であると。
 そうしたことから日本語は緊急事態とは「相性が良くない」と言います。日本語は融通無碍で、それは良さでもあるがだらしないとも言える。結局、場当たり的にならざるを得ないといいます。最後に、決断できない政府の言うことが当てに出来なくなり、自分で考えるしかなくなったというのが現在の状況ではないか、と喝破しています。
 緊急事態に関する数字は医療、経済、そして生活全般にわたり連日示されているようにも思えます。しかし、本当に「緊急事態」の実態をきちんと把握しているといえるのでしょうか。いずれ原因、経緯、結果等々分析されることでしょう。ただ、渦中にいる現在、この「宣言」でうやむやにされていると感じるのは私ばかりではないはずです。

幹事報告

2020-21年度幹事 石田 裕樹

◆対面会議会合自粛のお願い◆
 2月3日付で久保田ガバナーより通達されました。詳しくは下記よりご確認ください。
 【対面会議会合自粛のお願い_クラブ宛て
 【新型コロナウイルス流行による重要な最新情報について

 

◆ガバナー月信 2021年2月号◆
 下記よりご覧ください。
 【月信2020 第8号 
  (※今年度印刷物での配布は行いません。必要な方はダウンロードして印刷ないし保存してください。)

 

委員会報告

出席委員会

第284回例会 出席率100%
 会員数4名 出席者4名 欠席者0名

奉仕プロジェクト委員会

◆アーカス湘南RC お米プロジェクト~ご飯を食べてポリオ根絶!~◆
 前回例会会期中の申し込みは1件でした。お米のストックはまだありますので、身の回りの方たちへのご案内お願いします。
 
 案内用資料はこちら
 【アーカス湘南ロータリークラブお米プロジェクト案内
 【アーカス湘南RCお米プロジェクト申込書

Make Up

第284回例会のビジターコメント

前回はありませんでした。

Smile Box

第284回例会のスマイル報告

藤沢北西RC 井上 直紀 様


藤沢北西ロータリークラブ会長の井上です。お米プロジェクトにスマイルします。
コロナ禍ですが皆様の有意義な活動をがんばってください。

カレンダー

卓 話

戦争と経済 -「平和と紛争予防と紛争解決月間」に寄せて-

卓話者:大塚 和光 会長

 
 「戦争の経済学」という本が2007年に初版発行されています。Paul Poast著、山形浩生訳によるものです。430頁ほどの分厚い書物です。私は経済学部の出身ですので表題にひかれて読んでみたものです。経済が戦争や国防とどう関連するかを人文社会科学に関心のある人々に理解できるようにするために、入門書として書かれたとあります。学生の経済学の教科書または副読本としても想定されています。それだけに一般的な解説書と比べると読むのは中々骨が折れます。
 経済的な側面から戦争を見てゆくと戦争は経済的な「事業」だということが出来ます。ただし、現代の戦争は各種の複雑な要因が絡まり、はっきりした収益性だけでは議論できません。帝国主義時代の植民地を巡る戦争などのように少し古い形の戦争、つまり昔の戦争は比較的単純です。何か具体的な利益が得られるから戦争すると言えるのです。

 日清戦争は朝鮮半島の実質的な支配権を巡って戦われたと言えます。ですから古典的な帝国主義的植民地戦争と言えます。資料によって様々ですが、この本の資料によれば日清戦争の戦費、つまり支出は当時の名目金額で2335億円です。また、賠償金、つまり収入は遼東半島返還による追加分を含め3682億円とされます。この数字を使って日清戦争の収益率を計算すると、「収益率=収入÷支出-1」であるから57.7%ということになります。台湾や朝鮮半島などへの権益も得ているので実際はもっと高いかもしれません。
 勝ったから、こうした計算も出来ますが負けたら計算どころではありません。ハイリスク・ハイリターンと言いますが、事業として考えた時、戦争は非常にリスクが高いものです。国が滅びて国民が全滅する可能性だってあるのです。太平洋戦争を考えればわかりますよね。

 そもそも戦争の遂行には、どの程度の費用が掛かるものなのでしょうか。日本が経験した主な戦争である日清戦争、日露戦争、太平洋戦争を例にとって考えてみます。
 日清戦争の戦費は約2.3億円、日露戦争の戦費は約18億円でした。日清戦争開戦当時のGDP(当時はGNP)は13.4億円なので戦費総額のGDP比は0.17倍です。日露戦争の開戦当事のGDPは約30億円なので戦費総額のGDP比は0.6倍ということになります。これが太平洋戦争になるとケタが変わってきます。太平洋戦争の戦費総額は約1,900億円、日中戦争開戦時のGDPは228億円なので戦費のGDP比率は何と8.5倍。国家予算に対する比率では72倍という途方もない数字です。現在の状況に当てはめると、4,000兆円もの戦費を投入した計算になるのです。ただし、戦争期間中は無理な戦費調達から急激にインフレが進んだため、実質ベースではこれよりも少なくなると思われます。
 これらの戦争は全て国家の存亡をかけた全面戦争といってよいと思います。現代に於てこのような戦争が勃発する可能性はかなり低いといって良いでしょう。しかし、いざ全面戦争となった場合に必要となる経費は国家予算を大幅に超える巨額なものとなる筈です。

 それでは、戦争の遂行が経済にどのような影響を与えるのか具体的に考えてみましょう。
 先述のように、戦争には巨額の経費が必要となるため戦争の遂行は経済活動に相応のインパクトを与えます。経済学の教科書的な考え方では、戦争の遂行はGDPの構成要素のひとつである政府支出を増大させるため、その分、名目GDPが上昇することになります。戦争への出費が更なる消費や投資の拡大、生産性向上などに繋がれば、実質GDPの継続的な上昇に結びつくことになります。逆に、戦争への出費が生産性向上や消費の拡大に繋がらなければ、名目GDPは上昇するものの実質GDPの上昇にはつながりません。更に、戦費の調達が無理な借金によるものであれば、金利の上昇や悪性のインフレをもたらすことにもなります。
 日本が直接当事者となった日清戦争、日露戦争、太平洋戦争では戦争終了後に反動が起こりGDPが低下しました。特に太平洋戦争後のGDPの減少はすさまじいものです。日清戦争、日露戦争の場合には投入された戦費と名目GDPの増加分は近い水準でしたが、太平洋戦争についてはGDPの増加分よりも戦費の方が圧倒的に大きいのです。
 一方、日本が直接戦争の当事者にはならず、経済的な恩恵だけを受けることができた第一次大戦や朝鮮戦争では実質GDPの大幅な成長をもたらしています。第一次大戦については戦後の反動(1923年、1924年)が見られるものの、それまでの成長分が大きかったことからトータルではプラス収支と考えることが出来ます。

 以上のことから、戦費を一定範囲内に抑えることができた戦争の場合には経済成長に対して中立もしくはプラスとなり、限度を超えた戦費を投入した戦争は明らかにマイナスとなることが分かります。また、自身が当事者とならない戦争については、経済成長にといって大幅なプラスになることが分かります。
 自身が当事者となる戦争の効率が悪いのは、兵員という直接生産に従事しない人員に資源を振り分けなければならないこと、不足する物資について大量に輸入しなければならないこと、その両者ともGDPの成長に寄与しないことなどがその原因と考えられます。よってマーケットにとっては自国に関係のない戦争の勃発か、または平和の継続が高いパフォーマンスをもたらすようです。勿論、平和が続くのが一番です。
 

 
 総務庁の資料で日清、日露、太平洋戦争について戦費の流れを見てみましょう。

 日清戦争は、日本が歴史上初めて外国と行なった本格的な戦争です。このため、戦費も約2.3億円という巨額なものになりました。これを調達するため、明治政府は1895、1896年(明治28、29年)に総額1億2500万円に上る軍事公債を発行しました。この経緯を見ると明治政府は「軍事公債の発行→国内での消化難から預金部が引き受け→日清戦争賠償金の獲得→金本位制確立→預金部国債売却」という過程を曲芸のように遂行したことになり一歩誤れば国家破産に転落したところだったともいえます。 
 日露戦争の戦費調達では達磨宰相として有名な高橋是清の大蔵大臣当時の逸話が残っています。米国系ユダヤ人らから借金をして戦争を行い、「ロシアに勝利」した戦争でした。しかし、実際には同じユダヤ人がソビエトに金を回しロシアの崩壊を誘導していたとも言われています。そして、やがて太平洋戦争で米国に敗戦した日本ですが、太平洋戦争開戦時も日本は米国のユダヤ系資本に借金を負っていました。終戦後、米国は同盟国に戦争賠償金を課さないことを呼びかける一方で、結局、しっかり昭和の終わりまでかけて金利を加えて日本から借金を回収したのです。少なくともその間、日本は借金に隷属していたと言えます。そして今でもその影響が残っているのです。 
 あまり知られていないことですが、日本が最終的に日露戦争での外国からの借金を返し終わったのは昭和61年です。82年経ってからでした。82年前の人の借金を返済していたと団塊世代日本人の何割が意識していたでしょう。そして、当時の日本人は戦後賠償よりも負債返済を優先「させてもらった」のです。戦前の借金を取り立てられた一方で、十分な戦後賠償はしなくていいよ、と誤魔化されていたといえます。結果的に現在の日本人は隣国から領土問題をもちかけられ、さらなる戦後賠償を要求され、実際に政府開発援助や円借款という名の事実上の賠償金支払いを継続しています。実に82年間、戦前から戦後まで日本は米国人に日露戦争の借金という負債を返し続けたのでした。
 日本が戦後復興したのは米国のおかげだと一部の、あるいは大方の、日本人は言います。また、親米の日本人は少なくありません。私もテネシーに多くの友人がいます。不思議な話かもしれません。

 「日本国はその経済を維持し、かつ公正な損害賠償の取り立てを可能にするように産業を維持することを許される。」ポツダム宣言は、このように明言しています。 
 日本に借金を完済させるために米国が強く政策誘導したのは当然のことでした。他国が日本にカネを落とすことは、即ち米国の資金回収のために必要だったことなのです。米国は1986年まで日本の経済を慎重に取り扱い、またその後も有効利用できるよう努力しました。当初、まったく採算性のない原子力発電が日本に持ち込まれたのは米国の対日政策の一つでもありました。米国から見れば、短期的に現金を回収することこそ重要であり、長期的な採算制は全く重要でありませんでした。結果的に、日本の負債は見える負債から見えない負債に置き換えられたのです。

 近年の中国の台頭や日米安保の弱体化ともいえる変化に伴い、アジア太平洋地域の地政学的状況は大きく変化しつつあります。日本は太平洋戦争以降、自らが当事者となる戦争を長く経験していません。そのため、戦争が経済にどのような影響を与えるのか基本的な情報を持ち合わせていないといってよいでしょう。このためか昭和恐慌の頃に似て、ある部分には「経済に行き詰ると戦争によって打開するしかない」といった、かなり乱暴でアバウトな議論がまかり通っている状態もあります。日中韓の3国は既に国境紛争ともいえる状態となっており、北朝鮮情勢なども考慮に入れると今後日本が何らかの形で国際紛争に巻き込まれるリスクは増大しているとも言えます。いざという時にあわてないためにも、戦争が経済や市場に与える影響について我々は正しく理解しておく必要があると思います。

 第一に国民の命が大切なのは言うまでもありません。冷静に分析してみましょう。

閉 会

点 鐘

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